日曜日の静寂は、思考の時間です。
相場が動かない今日だからこそ、私は「数字の向こう側」を見つめなければなりません。
全米28都市で一斉に炸裂した「NO KINGS(王様はいらない)」デモ。ワシントンのリンカーン記念堂からニューヨークのタイムズスクエアまで、怒りの波は国境なき潮流となって押し寄せています。そして同じ週末、ヘグセス戦争長官は演台で「爆弾で交渉しているんだ」と言い放ち、スロットルを握る仕草で世界を震撼させました。
これは政治の話ではありません。私たちの資産が乗っている船の、嵐の実態です。
- 地雷①「NO KINGS」デモの拡大:軍事反対61%という世論の逆風は、トランプ政権の「中間選挙」生命線を削り始めている。政策転換の芽が生まれれば、市場は激しく揺れる。
- 地雷②「ヘグセス発言」の波紋:「スロットルを握り続ける」という言葉は、出口戦略の不在を証明している。停戦交渉と軍事強化の両立は、本質的に矛盾している。
- 地雷③ フーシ派の参戦:停戦以来初のイスラエル攻撃。「数日間攻撃を続ける」という宣言は、紅海の航行リスクを再び点火させる。海運・エネルギーコストへの波及が始まる。
イランの死者:1,937人(民間施設9万3,000棟被害)/イスラエルの死者:19人/米軍の死者:13人。
モジタバ・ハメネイ新最高指導者は「体制盤石」を誇示。革命防衛隊の指揮命令系統に大きな混乱はなし。
元駐イラン大使・齊藤貢氏は「60%の確率で限定的な地上侵攻」と予測。カーグ島占拠が次の焦点。
■「爆弾で交渉」という言葉の本当の意味
ヘグセス長官の一言を、私は軽く流せません。「We negotiate with bombs(爆弾で交渉する)」。SNSでは「正気の沙汰じゃない」と嘲笑が渦巻きましたが、私が戦慄したのはその言葉の中身ではなく、トランプ氏が眉を上げただけで大きな反応を示さなかったという事実です。
これが「正常」になっている政権の意思決定。そこに出口戦略は存在しない。パキスタンを仲介とした和平交渉と、カーグ島制圧の地上侵攻準備が同時に進行しているという矛盾。この矛盾は、相場のボラティリティとして私たちの資産を直撃し続けます。
| プレイヤー | 表向きの目標 | 本音 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| トランプ政権 | ホルムズ開放・核放棄 | 中間選挙前の「勝利」が必要 | 原油価格の乱高下が継続 |
| イスラエル | イランの体制転換 | 米の停戦後も攻撃継続の意思 | 和平合意後も地政学リスク残存 |
| イラン | 生存・体制維持 | 賠償金要求・核保有維持 | ホルムズ封鎖カードを温存 |
| フーシ派 | イスラエルへの報復 | 紅海航行妨害の再開 | 海運・エネルギーコスト上昇 |
■「NO KINGS」デモが市場に突きつける問い
米世論調査でイラン軍事作戦への「反対」は61%。11月の中間選挙を前に、この数字はトランプ政権にとって致命的な重力になりえます。
バージニア州のファーバーさん(60)は言いました。「何を話せばいいかわからないくらい問題だらけだ」。セラピストのヒューストンさん(78)は「移民政策も、イラン攻撃も、大統領の下品さも、何一つ賛成できない」と。高校教師のブルッケンタールさん(34)は「家賃や食費の支払いに苦しむ人がいるのに、他国を攻撃するなんて悲劇でしかない」と語りました。
この声は、投資家にとって何を意味するのか。
■為替「161円」という崖と、日銀の苦悶
片山財務相は「断固たる措置も含めてしっかりと対応していく」と介入を示唆しました。視野に入ったのは1ドル=161円という水準です。しかし、政府関係者自身が吐露しています。「トランプ氏が『撤退』なんて言い出せば、すぐ局面は変わる」と。
この一言が、すべてを物語っています。日本の為替政策は、中東の火薬庫に人質を取られているのです。日銀の4月利上げ観測も、この地政学リスクの前では霞んでいく。
| 指標 | 現状 | 端くれ流・展望 |
|---|---|---|
| 米ドル/円 | 160円超(+0.30%) | 161円が介入ライン。停戦報道一本で急反転のリスク |
| WTI原油 | 101ドル超(+7%超) | カーグ島制圧・フーシ派参戦で上値余地あり。エネルギー株の逆風 |
| 日経先物 | 51,250円(▲1,630円) | 年度末リバランス一巡後は需給の支えが消える |
| VIX指数 | 31超 | 「恐怖」の領域。個人投資家の握力が根本から試される |
■端くれ流・今週の戦略思考
■ 電力株という「制度と実需の両輪」は揺らいでいない
原油100ドル超えは電力株への逆風に見えます。しかし、フィジカルAIの普及とデータセンターの電力需要という「避けられない未来」は、この戦火でも消えていません。東電力HD(9501)・中部電力(9502)への長期保有の論理は、1か月の地政学リスクで崩れるものではない。
むしろ原発再稼働という「国策」の必要性は、エネルギー安全保障の観点からより高まっています。この嵐の中でこそ、電力株という「制度の壁」の価値を再確認する週にします。
■ サイバーSOL(436A):含み損を抱えながら、それでも握り続ける
地政学リスクと「TurboQuant」によるAI需要疑念という二重の逆風の中、私はサイバーSOL(436A)を今も手放していません。含み損は重い。しかし、この局面で売るということは、最も安い値段で手放すことに他ならない。
成長のストーリーが完全に崩れたとは、まだ判断していません。地政学リスクは「相場の外側」からやってきた話であり、サイバーSOLが本来持つ成長の論理とは、切り離して考えるべきです。嵐が過ぎれば、この銘柄が本来の評価に戻る可能性を、私はまだ信じています。
今は耐える局面です。含み損の重さに潰されず、週明けの審判を静かに待つ。それが今の私の答えです。
「NO KINGS」と叫ぶ数十万人の声。「爆弾で交渉」と言い放つヘグセスの不遜なジェスチャー。元大使が言う「60%の確率で地上侵攻」という予測。
これだけの火薬が積み上がった週明けに、私の含み損がどこへ向かうか。正直、読めません。
しかし、15年の航海で学んだことがあるとすれば、「読めないときこそ、規律が全てだ」ということです。今週も、狼狽売りをせず、追いかけ買いもせず、立てた戦略の枠の中だけで動く。
明日の朝、モニターを開く手が震えても、私はこの航海図から目を離しません」
【端くれ投資家の独白】
投資の本質は「不確実性の中での意思決定」です。確実なことは何もない。ただ、確実に言えることが一つある。ヘグセスがスロットルを握り続ける間、この相場に「静かな春」など訪れません。私たちは乱気流の中を飛ぶ覚悟で、シートベルトを締め直す日曜日です。
ADHERE TO THE DISCIPLINE.
「真の反撃は、戦火の煙が晴れた後に始まる」