今回は、苦い話をします。
2025年12月、私はこのブログで「信用買い残が多いと、なぜ株価は下がりやすくなるのですか?」という解説記事を書きました。信用買い残が将来の売り圧力になること、追証による投げ売りのメカニズム、大口投資家による損切り狩りの恐怖……。理論としては、完全に理解していたつもりでした。
しかし、その記事を書いた張本人が、まさにその罠に深々とハマりました。
サイバーソリューションズ(436A)、最終損切り額:▲390,830円。
これは、知識があっても規律を貫けなかった端くれ投資家の、正直な記録です。
なぜサイバーSOLを買ったのか
サイバーソリューションズ(436A)は、クラウド型のIT管理サービスを展開する成長企業です。IPO直後から注目し、「この銘柄は必ず上がる」という確信を持って購入しました。取得単価は1,302円。当時は強い成長ストーリーが描けていました。
ところが、株価は期待に反して低迷し始めます。
ナンピンという名の深みへ
株価が下がり始めたとき、私は「一時的な調整だ」と判断しました。そして買い増し、いわゆるナンピンを始めます。下がるたびに平均取得単価を下げようとしたのです。
気づけば保有株数は1,200株に膨らんでいました。
ナンピンとは、本質的に「負けを認めない行為」です。下がり続ける株に資金を追加投入することで、含み損の現実から目を背け、「もう少し待てば戻るはずだ」という希望にしがみつく行為でもあります。規律を重視すると常々言いながら、私はその規律を自ら破り続けていました。
流動性の罠――売るに売れない恐怖
さらにこの銘柄には、もう一つの落とし穴がありました。流動性の低さです。
売ろうとすると、自分の売り注文が株価を押し下げてしまう。大きな板がない銘柄に大量の株を持つと、こういう事態に陥ります。4月28日の最終売却では、4回に分けて細かく売り注文を出すという手間のかかる対応を強いられました。売るたびに株価が下がり、損失が膨らんでいく。あの感覚は、二度と味わいたくないものです。
今後は流動性の低い銘柄には手を出さない。これを新たな規律として自分に課します。
最終結果――390,830円の損切り
2026年4月28日、全8銘柄を売却した日に、サイバーSOLも全株売却しました。その実録がこちらです。
銘柄別の実現損益は以下の通りです。
- サイバーソリューションズ(436A):▲390,830円
- 東京電力ホールディングス(9501):▲69,520円
- PKSHA Technology(3993):▲56,700円
これらの損失を、ソフトバンクグループ・太陽誘電・リクルートHDなどの利益銘柄がカバーし、全体では+1,012,470円の利確となりました。詳細は4月28日の利確記事をご覧ください。
結果だけ見れば「100万超えの利確」ですが、サイバーSOLの損切りがなければ約40万円多く手元に残っていたはずです。その事実は重く受け止めています。
なぜ遅すぎたのか――3つの教訓
①「上がらない株はいつまで待っても上がらない」
市場は私の期待には応えてくれません。株価が長期にわたって低迷しているということは、市場がその銘柄に対して冷静な評価を下しているということです。「いつか必ず戻る」という思い込みは、希望ではなく執着です。上がらない株に縛られている時間と資金は、他の勝てる銘柄に使うべきでした。
②ナンピンは規律の崩壊である
ナンピンそのものが悪いわけではありません。しかし、明確な損切りラインを持たずにナンピンを重ねることは、規律の放棄と同義です。買い増すたびに「これが最後の買い増し」と思いながら、気づけば1,200株。数字が雄弁に語っています。
③知識と行動は別物である
これが最も痛い教訓です。信用買い残のリスクを解説できるほど理解していながら、自分がそのリスクの渦中にいるときには冷静な判断ができませんでした。投資において、知識はスタートラインに過ぎません。それを実際の行動に落とし込む規律こそが、本当の意味での実力です。
この記事を読んでいるあなたへ
もしあなたが今、含み損を抱えながら「もう少し待てば戻るはず」と思っている銘柄があるなら、一度冷静に問い直してみてください。
その銘柄を、今日初めて見たとしたら、同じ価格で買いますか?
答えが「No」なら、それはすでに売るべきサインかもしれません。
端くれ投資家の▲390,830円が、誰かの損切りの一押しになれば、この記事を書いた意味があります。
