- 「AI相場」は今が初めてではない——2020年の記憶
- そして翌年、NTT西日本ショックが炸裂した
- 5年後の現実:株価2,066円、それでも黒字転換
- 「AIに乗れない」より怖いのは「AIバブルに踊る」こと
日経平均が7万円台に乗り、AI・半導体銘柄が爆騰しています。キオクシアHD+12%、フジクラ+15%——画面の数字は眩しい。でも端くれ投資家の口座は今日も-178,250円でした。
「AIブームに乗れていない」というもどかしさを感じながら、ふと思い出したことがあります。5年前にも、「AIバブル」があったのです。そしてそれに踊らされた個人投資家は、地獄を見ました。
「AI相場」は今が初めてではない——2020年の記憶
2020年。コロナ禍の巣ごもり特需とDX需要を背景に、AI銘柄が爆騰した時期がありました。その象徴がAIinside(4488)です。
AI-OCRサービス「DX Suite」を武器に、2019年12月に東証マザーズへ上場。公募価格3,600円に対し初値は12,600円という、典型的なS級IPOでした。そして上場からわずか1年後の2020年11月20日、株価は96,000円の上場来高値を記録します。
公募から約26倍。当時のAI銘柄への熱狂を象徴するような数字です。
そして翌年、NTT西日本ショックが炸裂した
2021年5月。大口顧客・NTT西日本との契約打ち切りが発覚し、AI inside(4488)は2営業日連続のストップ安。96,000円の高値から一気に16,080円まで叩き落とされました。
高値で100株を掴んでいた投資家は、半年足らずで約800万円が消えた計算です。信用買いで追った投資家、ナンピンを重ねた投資家にとっては、文字通りの悪夢でした。
これが、そのAI inside(4488)の月足チャートです。ぞっとします。
AIinside(4488)月足チャート 資産2,000万への航海図|端くれ投資家の奮闘記
私はこの一件を当時ブログに記録しています。NTT西日本との契約打ち切り直後の緊迫感、「初値12,600円が下値めど」という当時の分析、そして仕手筋の影——あの頃書いた記事が今もGoogle検索で読まれているのは、AI銘柄への関心が改めて高まっているからではないかと思います。
詳細はこちらをご覧ください。
5年後の現実:株価2,066円、それでも黒字転換
あれから5年。AI inside(4488)の現在の株価は2,066円(2026年6月19日時点)です。高値96,000円からの下落率は▲97.8%。100株で計算すると高値比で約940万円が消えたことになります。
ただ、ここへきてようやく明るい兆しが見えてきました。2026年3月期決算で黒字転換を果たし、売上高は前年比+107.9%の47.47億円。主力の「DX Suite」の契約件数は2,800件超まで積み上がり、解約率も低水準を維持しています。自社LLM「PolySphere」やAIエージェント「Heylix」といった新製品群も育ちつつあります。
今のAIブームを追い風に、V字回復への道を歩み始めたのかもしれません。
「AIに乗れない」より怖いのは「AIバブルに踊る」こと
今日の相場を見ながら、私が思うのはこのことです。
キオクシアHD、フジクラ——確かに乗れていれば大きかった。でも5年前にAI insideに飛び乗った個人投資家たちも、当時は「これに乗らなければ」と思っていたはずです。AIというキーワードが輝いて見えるとき、人は規律を忘れる。それが投資の「業(ごう)」というものだと思います。
今日の端くれ投資家は-105,950円。AI相場に乗れていない悔しさはあります。でも「乗り遅れた焦り」で規律を崩すくらいなら、乗れないままでいい。
5年前のAI inside(4488)の記録は、そのことをいつも思い出させてくれます。勝てば官軍——しかし、バブルに踊って散った兵士に、官軍も賊軍もありません。
