- AIinside(4488)の惨劇:NTT西日本との契約打ち切り
- 暴落チャートの衝撃:半年で800万円が溶ける世界
- 5年後の現実:96,000円→2,066円という壮絶な軌跡
- 2026年3月期決算:ついに黒字転換
- この銘柄が教えてくれた3つの教訓
2021年5月に書いたこの記事が、今もGoogle検索で読まれています。AI inside(4488)が演じた「96,000円からの墜落」は、2,000万への航海を続ける私にとっても、忘れてはならない投資の「業(ごう)」そのものです。2026年3月期に黒字転換という新たな展開を迎えたいま、当時の緊迫感はそのままに、現在の状況を加えて記事を更新します。
AIinside(4488)の惨劇:NTT西日本との契約打ち切り
悲惨なことになったAIinside(4488)ですが、2営業日ストップ安が続き、ようやく先週末の金曜日に16,080円でクローズしました。
大口顧客のNTT西日本との契約打ち切りがその原因のようですが、我々個人投資家は、どこで拾うか、はたまた関わらないか、の見極めが必要です。
IPOデータから探る下値のメド(2021年当時の分析)
そこで、AIinside(4488)がIPO(新規公開)したときのデータを探しました。上場日:2019年12月25日、公募価格:3,600円、初値:12,600円です。
この結果から、S級のIPO銘柄であったことが分かります。上場から約1年半が過ぎ、さすがに公募価格で持っている個人投資家は少ないと思います。よって、下がるとすれば、初値を付けた12,600円近辺までは下がる可能性があると思います。
先週金曜日の終値が16,080円ですが、問題が解決したわけではないので、これからしばらく小康状態が続き、本決算報告の5月12日に来期見通しが貧弱なものなら、そこで一気に失望売りで16,000円も下回る可能性もあるかと思います。
96,000円という「異常値」と仕手筋の影
この12,600円でも高い水準と思います。一時期、2020年11月20日に上場来最高値の96,000円を付けており、異常です。仕手筋にやられたような見事な足形です。
東証マザーズ(現:東証グロース)なので市場参加者も少なく、インサイダーの証明は難しいですが、この大きな下落幅は、情報を早めに入手できた機関が下りていった、あるいは空売りを仕掛けた結果だと思います。
一方、個人投資家は勢いに乗り信用買いを膨らませ、最近では「1株から買えます」というネット証券も多く、そうした少額投資家の資金も餌に、空売りで大きく儲けた輩がいます。改めて投資の恐ろしい世界を感じます。
暴落チャートの衝撃:半年で800万円が溶ける世界
AIinside(4488)の恐ろしいチャートはこちら↓(2021年5月当時)
株で稼ぐ Kensinhan の投資ブログ AIinside(4488)暴落チャート(2021年5月)
最低の100株投資だったとして、高値で掴んだ投資家は半年近くで約800万円溶けています。早めに損切りできた投資家はよかったですが、持ち続けた投資家、ナンピンした投資家は悪夢でしかありません。私も当時のユーザーローカルでのナンピン事故を思い出さずにはいられません。
現物の方は、再び上がるまで持てますので、信用取引の怖さが改めて浮き彫りになりました。投資の世界はいつも勝てば官軍、負ければ賊軍です。
5年後の現実:96,000円→2,066円という壮絶な軌跡
当時「倒産さえしなければいつかは回復する」「自己資本比率も58%ある」と書きました。その言葉通り、倒産はしていません。しかし株価は2,066円(2026年6月19日時点)。100株保有で高値から計算すると、約940万円が消えた計算です。
AI inside(4488)株価の軌跡
高値比 ▲97.8% / 株価データ:2026年6月19日時点
2026年3月期決算:ついに黒字転換
そんなAI insideに、ようやく明るい兆しが見えてきました。2026年5月13日に発表された2026年3月期決算で、黒字転換を果たしたのです。
売上高は47.47億円(前年同期比+107.9%)と倍増。当期純利益は3.51億円の黒字。主力のAI-OCRサービス「DX Suite」の利用ライセンス数が増加し、解約率も低水準を維持しています。自己資本比率は72.6%に上昇し、財務基盤はむしろ当時より強化されています。
さらに、マルチモーダルAI統合基盤「AnyData」、AIエージェント「Heylix」、自社LLM「PolySphere」と、AIブームを追い風にした新製品群も育ちつつあります。2027年3月期も増収増益を見込んでおり、DX SuiteのAIエージェント実行基盤への進化が次の成長軸と位置づけられています。
では今が「買い」なのか
2021年当時、私は「株価が12,000円前後をうろつくようなことがあれば買いを検討する」と書きました。実際はそれをはるかに下回る2,000円台まで沈みました。
では今の2,066円は買いなのでしょうか。黒字転換は確かに好材料です。しかし、黒字転換1期目の段階で「継続的な成長」と判断するのは早計です。2027年3月期の第1〜2四半期で増収増益トレンドが確認できるか、DX Suiteの解約率が引き続き低水準を保てるか——私はそこを見極めてから動くスタンスです。
捨てる神あれば拾う神あり。このAIの世界は何が起きるか分かりません。業績のV字回復への道は、ようやく始まったばかりかもしれません。AIinside(4488)、引き続き注目銘柄としてウォッチを続けます。
この銘柄が教えてくれた3つの教訓
最後に、AI insideの一件が私に残した教訓を整理しておきます。
①大口顧客集中リスクを必ず確認する
NTT西日本という単一顧客への依存が、いかに株価を脆くするかを極端な形で証明しました。売上構成比の確認は、銘柄選定の基本中の基本です。
②高値圏での信用買いは命取りになる
IPO後の急騰局面では、仕手筋・機関の空売りが入りやすく、個人の信用買いが餌になる構図があります。勢いに乗るのは人間の性ですが、規律を持った損切りラインの設定が不可欠です。
③「下値めど」はあくまで参考値に過ぎない
初値・公募価格は心理的節目にはなりますが、業績悪化が続けば大きく下抜けします。チャート分析よりファンダメンタルズの確認を優先することを、この銘柄は改めて教えてくれました。
※本記事は個人投資家の見解であり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。株価データは2026年6月19日時点。